【有機JAS認定豆腐】と【有機大豆使用豆腐】の違いは?

日本オーガニック検定協会の大塚です。

今回は似ているネーミングでも、全く別の意味合いをもつ二つのお豆腐の違いを説明したいと思います。



『有機JAS認定豆腐』と『有機大豆使用豆腐』


『有機JAS認定豆腐』と『有機大豆使用豆腐』。

この似ている二つのお豆腐の違いをご存知でしょうか?

『有機JAS認定豆腐』と『有機大豆使用豆腐』、この2つは似ているようで実は全く別のものなのです。

今回はこの『有機JAS認定豆腐』と『有機大豆使用豆腐』の違いを踏まえて、安心安全な食品として選ばれている「オーガニック」、「有機」食品の基準について詳しく説明しますね。



有機JASマークとは


まずオーガニックや有機と聞くと安心安全で、体にいいなどといったイメージが思い浮かびませんか?

オーガニックや有機に関する法律が整うまでの少し前の日本では、オーガニックや有機に関する共通の定義自体がなかったため、「有機」や「オーガニック」という表示がついていても、その中身は様々なものが出回っていました。

その結果、消費者の混乱などを招くこととなりました。


また欧米をはじめとする諸外国では、日本より一足早く有機食品の認証制度が実施されており、貿易上の観点からもそういった諸外国の制度と足並みをあわせる必要もあり、2000年から農林水産省が制度化したものが有機JAS制度です


有機JAS制度では、有機JAS規格の厳しい条件をクリアし、第三者機関による認定を受けた商品のみが『有機JASマーク』をつけて、『オーガニック』や『有機』という表示を許可されることになりました

今は、食品で「有機○○」「オーガニック○○』と名乗るためには、有機JASマークの貼付が必須とされています


有機JASマークの認証検査は他の認証と比べて非常に厳しいといわれています。つまり、有機JASマークは安心と信頼のマークといえるのです。


有機JASマークが付いている食品は、「有機農産物」「有機畜産物」「有機加工食品」「有機飼料」の大きく4つに分類されます。




有機大豆は有機農産物


有機JAS規格の、「有機農産物」の基準は、「化学肥料、農薬を2年間使用していない土壌で育てられたこと」、「遺伝子組み換え技術を使っていないこと」など、細かく数多くの基準やルールが存在します。

有機JAS規格で定めれられた基準を満たすのはもちろんのこと、オーガニック検査員による検査、そして第三者機関である登録認定機関からの認可を受けることが条件になっています。

単に無農薬で栽培されただけでは、有機野菜と表示することは法律によりできないのです。

また、栽培プロセスをいつでもさかのぼれることも必要です。


例えば、種や肥料などの農業用資材の伝票や購入の記録、畑ごとの栽培記録、収穫記録、出荷記録など。

農産物がどこでどのように育てられたという情報が必要です。

さらに、まわりの田畑から農薬が飛んでこないように工夫しなければなりません。

自分の畑では農薬を使っていない場合でも、

隣の畑の農薬が、自分の畑の農産物に付いてしまうことがあります。

その場合、有機農産物として出荷することはできません。

ですので、『有機大豆使用豆腐』と表示された豆腐の場合、この厳しい基準をクリアした有機農産物である『有機大豆』を使用していることになります


ですが、この『有機大豆使用豆腐』では、たとえ『有機大豆』を使用していても『有機JASマーク』を貼付することも、商品名に『有機JAS認定豆腐』と表示することはできないのです。

何故なのでしょうか?




有機加工食品とは


お豆腐は大豆を使用し、加工した加工食品です。

有機JAS制度において『有機農産物』と『有機加工食品』は、それぞれ別に認定を受ける必要があります


たとえ有機JAS認定を受けた有機大豆だとしても、その大豆を使用(加工)し作られたお豆腐は、有機JAS認定豆腐として販売することはできないのです

もし有機JAS認定豆腐として販売するのならば、有機加工食品としてまた認定を受ける必要があるのです。


有機加工食品の基準は、原材料の95%(水・塩は除く)が有機農産物・畜産物で作られた食品であること、もちろん加工の段階でも化学薬品を使わない、

薬剤などで汚染されないよう管理された工場で製造することが鉄則となります。

また、加工食品の場合も製造プロセスをさかのぼれなければならないなどの厳しい規格があります。

単に加工品を作る時とは違った、細かい管理や記録が必要なのです。


『有機大豆使用』とあっても有機JASマークのついていない豆腐は、有機加工食品でない限り、『有機食品』とは言うことはできません。

原料として有機を使っていると言うのと、商品そのものが有機認定を受けていると言うのは全くの別物。

『有機大豆使用』は有機加工食品の検査認証を受けなくても自由に使用できる用語なのです。


ですが、だからといって『有機大豆使用』と書かれたものがダメなのかというとそうではありません。

大豆の国内自給率は7%に過ぎず、多くの大豆は輸入に頼っているのが現状です。

その7%中、国内の有機JAS認定の大豆の自給率はなんと0.55%程度

大豆は農薬を使用しないで作るのはとても大変で、多くの労力が必要になります。

そんな手間隙かけて作られた『有機大豆』が使用されているのならば、ひとつの選択基準とすることも必要かと思います。



ここまでしっかりと管理されている有機JASマーク。

自分や自分の大切な人がずっと健康でいるためにも、“何を選んで食べるか?”はとても重要なこと。

日々の食べ物で作られる私たちの体。

安さや手軽さにだけでなく、どんなものを選び口にするかを考えて行きたいですね。



日本オーガニック検定協会

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