環境と人に優しいオーガニックコットンとは?
先日Instagramにて素敵な質問をいただきましたので、今回はオーガニックコットンについてお話ししたいと思います。
今回いただいたのは
『環境や働く人に優しいと共に、本当に肌にも優しい生地とその理由が知りたいです』
というご質問でした。
ご質問いただき本当にありがとうございます。
環境に優しく働く人にも優しく、そしてお肌にも優しいというのはオーガニックがもっとも得意とするところです。
生地にもコットンやリネン、そしてシルクなど色々種類はありますが、
今回はオーガニックコットンについてお話ししたいと思います。
【オーガニックコットンと一般的なコットンの違いは?】
世界におけるコットンの年間生産量は数千万トン。
そのうちオーガニックコットンの生産量の割合はどれくらいだと思いますか?
実はオーガニックコットンの生産量の割合はわずか1%にも満たない0.5%ほどです。
なぜこんなにも生産量が少ないのでしょうか?
そしてなぜオーガニックコットンが環境と人や肌に優しいのでしょうか?
一般に栽培されているコットンは農薬を非常に多く使用する農作物です。
全世界耕土の約2.4%で栽培されているのに対し、農薬使用量は約11%を占めています。
殺虫剤使用にいたっては約25%に達したという調査報告もあります。
長い間、こうした栽培方法で世界のコットン需要はまかなわれていました。
しかしこうした長期間にわたる農薬の使用は、生産者の健康被害や自然環境への悪影響を与えてしまう結果となり、その事実が少しずつ語られるようになりました。
その一方で、高い生産性や品質性を優先するために、遺伝子組み換えによる種子の使用が増加するようになり、現在では世界の約70%に達しています。
また遺伝子組み換え種子の増加に伴い、遺伝子組み換えでない種子の確保が重要な課題となってきているのです。
オーガニックコットンと表示するためには5つの条件をクリアしなくてはなりません。
1. 3年以上、化学農薬・化学肥料が使われていない土壌で栽培されること。
2. 遺伝子組み換えの種ではなく、化学農薬や化学肥料などを用いず、有機肥料のみで栽培されたコットンであること。
3. 労働の基準として、児童労働が行われていないこと。
4. フェアトレードで取り引きされていること。
5. 1〜4の条件を満たしていることを第三者認証機関が認証すること。
この厳格な条件を満たし、かつ認証機関の認証を得て初めて『オーガニックコットン』と表示することができ、私たちの手元に届くことになるのです。
こうした厳しい条件をすべてクリアするためには手間も資金もかかります。
そして今まで農薬散布を行なっていた土地でオーガニックコットンを栽培しようとすると、最低3年間は化学農薬・化学肥料を使用せず、土壌を変えて行かなくてはならないために時間もかかってしまいます。
そして何より無視することができないのが児童労働と「フェアトレードの精神』です。
特に途上国で、特別な防護策を持たないままの生産者が、素手で毒性の高い農薬や殺虫剤を散布することは、大きな健康への被害をもたらしてしまうのです。
またそれら栽培に必要な化学肥料や農薬を買うために借金を重ね苦しい生活を強いられた地域では、労働条件の悪さからの貧困問題、さらには児童労働も行われてもいます。
オーガニックコットンでは、生産者の仕事に応じた対価を支払い、生活の自立を支えるという「フェアトレードの精神」が息づいていますから、幼い子どもたちが教育の機会を得られず安い賃金で働かされていた児童労働の問題の解決にもつながっていくのです。
【肌に優しいオーガニック素材?】
こうした背景があるコットン生産ですが、ではオーガニックコットンは肌に優しいのでしょうか?
一般的にオーガニックコットンは、肌に優しくベビー用品にもよく使用されています。
しかしオーガニックコットンと一般的に栽培されたコットンの残留農薬量を検査しても、どちらもその量はほどんど変わりありません。
コットン栽培にしようされた農薬は、時間が経つと分解され、最後にはほとんどのコットンには残っていないのです。
ですので、収穫されたものから科学的なテストなどでオーガニックかどうかを判別することは不可能なのです。
「オーガニックコットンの製品は比較的値段が高い」と思われがちです。
しかしその「値段」には必ず理由があります。
農薬や化学肥料に頼った大量生産による安価な商品を求めるのか。
環境や見えない場所で働く人々への付加価値を、その値段の中に含むものを求めるか。
私たちはその理由と背景を知った上で、あなたはどちらのコットンを選びますか?
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